高校・大学と写真部に所属していたものの、
何かひとつの被写体に夢中になるというより、
現像や焼き付けといった暗室作業の方に興味があった僕。
社会人になって、しばらくは写真から離れていましたが、
友人との旅行を機会に再びカメラを手にするようになりました。

そんな僕がマクロ(接写)と初めて出会ったのは2002年のこと。
たまたま雑誌で見つけた写真家・江口愼一先生の撮影会に参加した時のことです。

その撮影会で初めてマクロレンズを通して花を見たとき、
ファインダーの中に水彩画のように広がる色、光の輝きに魅了され、
一瞬にしてこの不思議な世界の虜になりました。

それ以来、僕の頭の中は朝から晩までマクロ、マクロ。
どんどん写真の世界へのめり込んでいきました。
そして今では風景を見る僕の目も、すっかりマクロの目になっています。

マクロに出会わなければ、今もこうして写真に夢中だったかどうかわかりません。

花は、ほんの少し見る角度や時間を変えるだけでまったく違った表情を見せてくれます。
時には繊細だったり、時にはワイルドだったり、はたまた動物のようだったり。

その七変化を引き起こしているのが光。
花に降りそそぐ光と、撮影する僕の心が融合して、
ファインダーの中にマクロならではの不思議な世界を描いてくれるのです。

今日はどんな世界を見せてくれるのだろう?
いつも新鮮な気持ちで、ドキドキワクワクしながら夢中で撮影しています。

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辛い時、悲しい時、仕事がきつくて心も体も壊れそうになっていたとき、
「もう少し我慢したら撮影に行ける!」そんな思いで乗り越えてきました。
そして待ちに待った休日。
ファインダーを覗いた瞬間に嫌なことも心の疲れもぜんぶ吹っ飛んで、
夢中で花や虫たちを追いかけていました。
僕の心を癒し、生きるパワーをくれたのは、いつも写真でした。

こんな僕と同じように、僕の写真を見た方にほんの少しでも心を癒してもらえたら。
ホッと温かい気持ちになってもらえたら。
そんなほんの少しのハッピー、「プチ・ハピ」を提供できたらいいな、と願っています。